前略
おっさんだけど、泣いた。
おっさんのくせに、泣いた。
おっさんの分際で、泣いた。
の館長です。
『今夜、ロマンス劇場で』は思いがけなくいい映画で泣けた! 考えさせられた!
先日、テレビで「地上波初・本編ノーカット」を謳い文句に『今夜、ロマンス劇場で』が放送されたので、なんとなく観てみました。
最初は「なんとなく」だったのです、「NANTONAKU」(←「MOTTAINAI」っぽく言ってみました)
綾瀬はるかはかなり好きなので、彼女が主演だから、というのも理由の1つにはなりましたけど、ほんと最初はただなんとなく観はじめてしまったのです。
そしたら結果的には大泣き。大泣きじじい!(←子泣きじじいっぽく言ってみました)
よかった、1人で観てて。
『今夜、ロマンス劇場で』ポスターやアート作品
映画『今夜、ロマンス劇場で』のイラストを描かせて頂きました??
あまりにもドツボすぎたので推しポイント付きバージョンも描いてしまった…!!!! pic.twitter.com/YKUmfTr0Qc
? 山科ティナ ショジョ恋。 (@tina_yamashina) February 8, 2018
9時から『今夜、ロマンス劇場で』がある!ということで、試写会に呼んで頂いたときに描いた絵をオススメの気持ちを込めて再掲します。?地上波!
温かいおとぎ話という感じでとても素敵なのでこの機会にぜひぜひ…?? #ロマンス劇場 pic.twitter.com/RLtiqCGFmz? 染谷みのる@刷ったもんだ!連載中 (@someya28) May 16, 2020
『今夜、ロマンス劇場で』あらすじ
主人公は映画監督を目指す助監督の青年・健司(坂口健太郎)。
彼が足しげく通うロマンス劇場。
そこの映写室で「廃棄」と書かれた古いフィルム缶を見つけました。
彼は映画の中のお転婆姫、美雪(綾瀬はるか)のことがすっかり好きになっていました。
ある日、上映中に落雷が起きて場内は停電。
その日から二人の奇妙な同居生活が始まったのです。
モノクロの世界しか知らない美雪にカラフルな現実世界を案内する健司。
(僕はこのかき氷のシーンが特に好き。美雪の衣装とかき氷の彩りがとてもいい!)
同じ時間を過ごす中で二人は次第に惹かれあっていきます。
でも、美雪にはある秘密がありました。
現実の世界に来るための代償として、人のぬくもりに触れたら美雪はこの世界から消えてしまうという運命を負っていたのです。
そんな中、美雪は映画会社の社長令嬢・塔子(本田翼)が健司に思いを寄せていることを知ります。
好きだから触れたい、でも触れられない……。
この切ない真実に2人はどう向き合い、どんな答えを出すのでしょうか?
好きな人にさ、触れずに生きていけると思うか?
美雪の秘密を聞かされたあと、健司は良き友であり良きライバルでもある同僚の伸太郎(中尾明慶)に尋ねます。
「好きな人にさ、触れずに生きていけると思うか?」
伸太郎は当然のように「そんなん、無理に決まってんだろ」と。
「そうだよな……」と返事をする健司。
このやりとりを偶然に耳にしてしまった美雪は自ら身を引く形で健司の前から姿を消し、塔子の後押しをすることになるわけですが、塔子のこともまた見ていて悲しい。
転んだ塔子を助けたとき、はからずもその手に触れてしまった健司は、
「隣にいる人のぬくもりを知れるのが当たり前のことだと思ってた」
と愕然とする。
好きな人に触れることができる――。
これをもちろん僕だって当たり前のことだと思ってきました。
だけど奇しくもいまコロナ禍にあって、人生で初めて人と触れ合ってはいけない、人に近づいてはいけない、という経験をしています。
すぐそばにいられること。
触れることができること。
これらはやっぱり当たり前なんかじゃないんだな……と。
ここまでのシーンを観て、僕は “究極の選択” を突きつけられたような気持ちになったのでした。
つまり、
“さわれる本田翼” と “さわれない綾瀬はるか” 、どっちを選ぶ?
という邪悪な選択です。
これは迷うでしょう。
いや、多くの男は “さわれる本田翼” を選ぶでしょうね。
ネット上を見ますと、綾瀬はるかより本田翼のほうが男の人気があるみたいに感じますし。
映画の役を抜きにして、「本田翼」「綾瀬はるか」として比べた場合、僕は綾瀬はるかのほうが好きなんですが、さわれるんなら本田翼を選んでしまいそうです。ごめん。(どういう立場で謝ってんだ)
それは、好きな綾瀬はるかに一生さわれないツラさから逃げたいのと、単純に本田翼にさわりたいというやましい心の両方からです。
ああ、ほんとこんなんでごめんなさい。
こんな僕には「今夜、ストリップ劇場で」のほうがお似合いです。
では、映画に立ち返って……。
僕はよくよく考え悩んだんですが(おまえが悩まなくていいって話ですが)、やっぱりさわれなくても美雪(綾瀬はるか)を選びます。選ぶのです。
いや、だって……
選ぶしかないじゃない。美雪のことが好きなんだから。好きなのは美雪なんだから。
そもそも好きになった人に触れたくなるのってどうして?
それはやっぱり、身も蓋もないこと言うようだけど、“性欲” のせいですよね。
もちろん性欲を悪などと言うつもりはまったくないです。
それどころか必要不可欠でしょう、人類の存続と繁栄のためにも。
とはいえ自らを性欲の傀儡とは思いたくありません。
でも、すごく好きで好きでたまらなくなった相手に触れたとき、抱きしめたとき、その瞬間にもし我に返って「オレ、今どうしてこの子に触れてるんだろう?」と自問してみたらどうでしょう?
「愛があるからに決まってる!」なんて言えるのかな?
「ごめん、今ちょっと性欲……」って答えるヤツのほうが正解のような気がします。
結局、性欲を愛だと思いこむことによって自らの性欲を正当化し、実は性欲であるところの愛を性欲ではない愛だと錯覚することで愛し合ってるという体(てい)を保っているにすぎないのだ……としたら、なんか恋愛なんて虚しくなっちゃいますけどね。
だから、“究極の愛” というものがあるならば、それは相手に触れなくても添い遂げられる愛こそがそれなのではないか? と思うに至ったのです。
つまるところこの映画は、前述した健司の言葉、
「好きな人にさ、触れずに生きていけると思うか?」
をメインテーマとし、それに対する答えもきっちり提示している。
では、健司と美雪はいったいどんな愛の道を選択し歩んだのかは、一応 “ネタバレ” に配慮してここでは伏せておきますが、ふたりが選択した愛のカタチ、またそれの見せ方が秀逸すぎるあまり、「ええーーっ!? そうだったのぉ!!!!」と本当に声が出てしまったことだけは申し添えておきます。
俊藤龍之介(北村一輝)が良かったね!
俊藤龍之介(北村一輝)は、健司たちが勤める撮影所の代表作『ハンサムガイ』シリーズに主演する看板スター。
ナルシストで大スター然としているけど、超ポジティブで憎めない男。
はじめに出てきたときは看板スターであることを鼻にかけたイヤなヤツかと思ったけど、いろんなことに動じない懐の深いヤツだった。
最後のほう、思い切りの悪い健司の背中を押すような言葉をかける。
「男が簡単に下を向くな!」
「男の視線は常に未来」
「好きな女との未来を見つめてぇ~ 生きるものさぁ~(見得を切りつつ)」
「下を向いてたら 今しか見えないぜ」
――うん! カッチョいい!
含蓄あるお言葉。
いやほんと、僕も声を大にして言いたい。
「勉強になります!」(大勢の付き人たちが俊藤に向かって一斉に言う言葉)
他にも随所に名言・迷言を散りばめる、北村一輝演じる俊藤龍之介演じるハンサムガイには、いっぺんでファンにさせられました。
『ハンサムガイ』シリーズ、本当に観たい。
“女優・綾瀬はるか” は、いまナンバーワンではなかろうか
綾瀬はるかのことは確かに好きなんですが、出演してるものすべて観るとか、部屋にポスター貼るとかするような “大ファン” というわけではないのです。
でも、今のところ結婚されたらいちばんショックな女優さん。(かなり好きなんじゃん!)
でもなぁ、年齢的に言ってもそろそろありうるんだろうなぁ……。
結婚発表が報道されても素直におめでとうなんて言えそうにないなぁ……。
綾瀬はるかは意外に何でもこなせる女優さん
それはともかくこの映画。
始まってすぐに綾瀬はるかに釘づけになり、ラストまでずーっと、いやエンドロールまでずーっと、なんなら終わってからもずーっと綾瀬はるかに魅了されっぱなしの映画でした。
もちろん、そうなるように作ってあるんですから、僕が制作側の術中にまんまとハマっただけなのかもしれませんが、その制作側の意図を完璧に具現化する綾瀬はるかはやはりスゴい。
この “魅惑の25変化” を完全に自分のものにして魅せてくれるのです。
ほんと、息を呑む美しさとはこのことよ!!
僕が特に魅せられたのはこの2つ。
いろんな変化を見せられるのは「女優なら当たり前」とおっしゃる方もおられましょうが、有り体に言えば、演技力うんぬんの前にまずルックスの問題があるじゃないですか。
背がそこそこあって(綾瀬はるかは166cm)、プロポーションがよくないと、どんな衣装も似合うというわけにはいきません。
そこでまずふるいにかけられる女優さんはいるはずです。残念ながら。
しかも彼女はああ見えて(失礼!)運動神経もいいので、アクションもこなせるしポーズに芯が通ってる。
だからこそ、カッコいい役も、凛とした役も、可愛らしい役も、コミカルなドジっ子も、ほとんどなんでもやってのける。
『僕の彼女はサイボーグ』やら『おっぱいバレー』をやっといて『精霊の守り人』まで演じ、今回のこの『今夜、ロマンス劇場で』――。
ここまでをこなせて、なおかつ紅白歌合戦の司会にまで起用される女優さんは今現在では綾瀬はるかだけだ! と大仰に言っておきます。
綾瀬はるかはきっと人柄もいい
僕の欲目だと言われても仕方ないのですが、綾瀬はるかはきっと人柄もいいに違いありません。
この映画の舞台挨拶で司会者に「実現させたい夢」を聞かれたとき、綾瀬はるかは「世界平和です」ときっぱり言いました。
直後、その模様を茶化したような記事がネットニュースに上がり、僕はかなり憤慨したのです。
■ 綾瀬はるか、夢は「世界平和」 壮大過ぎる願いに周囲があ然 | ORICON NEWS
また、映画にかけて実現させたい夢を語ることに。
通常のイベントでは出演陣が無難に答えることが多いが、やはり綾瀬は綾瀬だった。
「オリンピックも開催中ですし」と話し始めると「世界平和です」ときっぱり。
理由については「みなさんが、いつも笑顔で健やかに過ごせる、そんな世の中がいいです」と笑顔を見せた。
あ然としたのは共演陣だ。壮大過ぎる願いの後を受けた坂口は「世界平和の後ですもんね…」と閉口。
「やっぱり、この作品の大ヒット」と“お約束”で無難に回避し、綾瀬は「ごめんなさい…」と苦笑いを浮かべた。
もっとも、後日この記事が下記の記事によって完膚なきまでに糾弾されたことによって僕は溜飲を下げることができたので良かったんですが。
■ 綾瀬はるか「夢は世界平和」をバカにしたオリコンと毎日は何もわかってない! 綾瀬の真摯な反戦への取り組み (2018年2月16日) – エキサイトニュース
今月10日に封切られた綾瀬はるか主演映画『今夜、ロマンス劇場で』。
その初日舞台挨拶に関するレポート記事に疑問の声が相次いでいる。
それは、「ORICON NEWS」が10日に配信した記事「綾瀬はるか、夢は「世界平和」 壮大過ぎる願いに周囲があ然」。
この初日舞台挨拶では、綾瀬が平昌オリンピックに触れながら「世界平和」について語ったのだが、記事ではその「世界平和」発言をバカにし、まるで彼女の天然キャラ発言であるかのように貶めたのだ。
ほんと、ORICON NEWS の記者は、綾瀬はるかが広島出身であることも、戦争体験を聞く番組を何年もやっていることも、さらにその本も出ていることも、なんにも知らずにただ貶めようとして書いたとしか思えない浅はかさ。
以来、僕は「ORICON NEWS」のことは軽蔑しながら暮らしています。
この放送は毎回観ています。
体験者が語る話はどれもこれも聞いていて胸が押しつぶされるかのように苦しくなります。
そんな話は聞くほうにとってもかなりの精神的負担になると思うのです。
いくつもの悲惨な話を何年にも渡って聞き続けるには、並々ならぬ慈愛と心の強さが必要ではないでしょうか。
番組として成立させなきゃとか、いわゆる “撮れ高” なんてものには忖度しないであろう彼女は、ときに「え? そんな話から入るの?」と思わせるようなことも言います。
でもそんな姿勢がきっと、初めは語りたがらなかった体験者の心を開き、つらい話を聞き出すことを可能にしているのではないか、などと感じたこともしばしば。
彼女からは背筋の伸びた真っ直ぐな正直さや強さのみが発せられ、よこしまなものはいっさい感じられません。
だからこそ、映画の舞台挨拶でも「世界平和です」なんて言えてしまうのでしょう。
「周りに合わせなきゃ」とか「場の空気を読まなきゃ」などと考えていたらとてもそんな言葉は出ません。
ストレートに正直に、問われたことに対する自分の答えを言う――。
そんなところにも僕は彼女の人柄というものを見た気がしたのでした。
綾瀬はるかはSNSをやっていない
本人はSNSをやらない理由として、“やり方がわからない” “面倒くさい” “必要がない” の3つを挙げている、とのことですが、たぶん事務所の方針なんでしょう。
SNSは上手に利用すればファンとの距離を縮めることができ、プロモーションにも有効に活用できます
……なんてことが言われますが、僕は俳優・女優にはSNSをしてもらいたくないのです。(芸人やその他タレントはこの限りにあらず)
距離なんて縮めてほしくない。
遠い存在だからこそ憧れるのだし、世界が違うと思うからこそ、演じた役にこちらも没頭できると思いますから。
これはもうほんと僕個人の思いであって、好きな芸能人とできるだけ距離を縮めたいと願う人がいるのも理解できます。
でも僕はこれまで、SNSを始めた芸能人で、始める前より好きになれたのはごくごくわずかで、ほとんどの人は幻滅し嫌いになってしまいました。
芸能人が自己顕示欲旺盛なのはそもそも人前に出る仕事を選んだ時点で当然のことなんですが、その自己顕示欲は、でっかいスクリーンとか偉大なるテレビの電波とか、一般人が使えないもので満たせばよいのであって、誰でも使えるインターネットのツールでチマチマと小っちゃいことすんなよ! と言いたいのです。
言いすぎだったらごめん。(誰に謝ってるんだ)
SNSをやっていない女優さんたちには昔の銀幕スターのような “夢” がまだ生きている。
女優さんの私生活があまり分からない。今日なにを食べたのかも分からない。
そして、そんなものは分からなくていい。
そうすれば、役を演じるごとに、その役として純粋に見ることができる。
映画なら映画に、ドラマならドラマに、よりいっそう入り込むことができる。
……僕はそんなふうに思ってしまうのです。
だから綾瀬はるかにはこのままSNSをやらずにいてほしい。
じゃあ、もし始めたら幻滅しちゃうか?
幻滅はしない。フォローはする。(なんだよ!)
いえ、僕の希望なんかはともかく、ヘタにSNSをやってさまざまなノイズにさらされることになっては大変。
そんなことで疲弊することなく女優道に邁進できれば、そのほうがご本人にとってもいいと思うのです。
今回も綾瀬はるかのおかげでいい映画を観ることができました。
このシーンのように、僕の心も色づいていくようでした。
おっさんだけど、
おっさんのくせに、
おっさんの分際で、
色づいていきました。
ありがとう。いい映画です。
『太田胃散』みたいに言うな
プロフィール
館長と申します。
ホッピーを飲みながら猫をモフっているときが至福の時だと思いますがそういう状況になったことがありません。世知辛い世の中ですね。
こまかい話は下記に。
自己紹介
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